9月例会「からだとことばのレッスンから見た吃音」

【報告】

 本日は、9月例会でした!「からだとことばのレッスンから見た吃音」ということで、からだとことば研究所の三好哲司氏にご指導頂きました。

 参加者14名で、うち初参加が4名。

 大好評でした!

 2人一組になり、片方は床に横になり、もう片方の人が相手の身体をゆらす「からだの揺らし」や、背を向けた相手に呼びかける「呼びかけのレッスン」など、いろいろなレッスンをおこないました。

 例会の時間を拡大して5時間にわたるレッスンで、充実した時間でした!

 また第2弾のレッスンも企画したいと思います!

 竹内敏晴氏についてレクチャーしていただいた、山田さん、ありがとうございます!(会長)

 

埼玉言友会での「からだとことばのレッスン」から見た吃音と称して行ったレッスン(2015年9月20日、北浦和公民館和室にて)

                      三好哲司(からだとことば研究所)
 
 まず最初に、國分伸介さんがみんなに自己紹介をするよう進行した。
 次に、山田舜也さんが「からだとことばのレッスン」を始めた竹内敏晴さんの思想をまとめたものを10分で紹介した。これは8月の勉強会で2時間かけて紹介したもので、山田さんの苦労は大変なものであったと思う。
 この山田さんの仕事は、吃音をことばの問題としてだけ捉えるのではなく、もっと大きな枠組みで捉えるのにとても必要なことであると思う。山田さんに感謝したい。
 少しリラックスしたところで「ゆすり」と名付けられたレッスンに入った。これは2人組になって、片方が床に仰向けになって寝転がり、もう一人の人が、寝転がった人が力を抜くのを手助けする。
 床に寝転がると、立った時には使っている骨格筋を支える筋肉は休んでいられる。これは野口体操の「ネニョロ」という体操から変化したものである。野口さんは、からだは固いものではなく、液体や気体のように柔らかいものであるとイメージした。寝転がったからだは、革袋の中に水が入っているようなもので、中にいろんな臓器が浮かんでいるようなものだとイメージして、どこでもいいからからだを揺すって見ると、波が全身に伝わっていく。
 この時にはまず片方の足首のところを持って、揺すって見るというところから始めた。
 それから足首、膝、股関節、手首、肘、肩、首の力が抜けているかどうか一つ一つ調べていく。本人は力を抜いているつもりなのに、力が入っている。例えば手首の下のところを持って垂直に立てて、指先に力が抜けているかどうか調べて見る。この時に肘に力が入っている人が多い。相手の人が手首から手を放しても、肘から先が立ったままになっている。それを相手の人が指摘してあげる。肘から先が立ったままでいるということは、力が入っているということである。力が抜けているとバタンと手は倒れる。本人は力がはいっていることに気がつかないので、教えてあげなければならない。
 そこで、力を抜こうとしてもなかなか抜けない。意識で抜こうと思うと尚更力が入ったりする。私たちは重力の場にいるので、重さに任せていれば力は抜けている。
 一人1時間ぐらいかけて前身のちからを抜くことをやった。途中から眠っている人もいる。これは交代してもう一人に人もやった。

 「呼びかけ」のレッスンをやった。これは5,6人の人に前に出てもらい、後ろ向きに前後左右にずれて座ってもらい、その中の誰かに呼びかけるというレッスンである。
 誰か1人が立って前に後ろ向きに座っている人に向って、何か短いことばを呼びかける。前の人は自分に呼びかけられたと思ったら手を挙げる。そうでない人は声がどのように聞こえてきたのかを指先で示すというレッスンです。
 これはちゃんと「呼びかける」ということがなかなか難しいレッスンです。それで最初は聴き手の練習です。声がどのように聞こえたのか、それを聞こえたままに、述べて欲しいのです。いろいろな推測が入ることがあります。自分より左の方に聞こえたが、左にはこの人しかいないというのは推測が入っています。自分より左の方に聞こえたのか、左にいる人に声が届いたのかを区別することが大切なのです。何度か聞いて居るうちに、声はずっと後ろの方に落ちただの、自分の肩に触れて前へいったとか、声の行っているところが分かって来るようになります。
 語り手の方の問題はとても最初の段階では難しいです。声が相手に届くという人は大体そんなにたくさんはいません。これはもっと別の形、芝居などをやって徹底的に相手に声を届けるというようなことが必要にもなります。
 2人組になり、1人が後ろを向きもう1人の人が絶対ここからなら相手に声を届かすことができるという距離から声をかけます。すぐ近くまでいけば声が自分にかかったという返事が多かったでしょう。それから距離を少しずつ変えて声をかけていきます。これで少しは声が自分にかかるというのはどんな感じなのかということを感じ取れるでしょう。

【感想】

 今日は、からだとことば研究所代表の三好哲司先生をゲストにお招きして、からだとことばのレッスン体験会を行いました。

 最初の30分に、挨拶と自己紹介、また、竹内レッスンについての簡単な講義(15分・山田が主催)がありました。そのあと、約5時間にわたり、三好先生主導で、レッスンを行いました。

 野口体操を発展させた身体の緊張をとくレッスンの後、話しかけのレッスン、声のレッスン、触れるレッスン、などを体験しました。

 個人的には、話しかけのレッスンが一番面白かったです。「ことばを相手にとどかせるのって難しい!」と思いました。同時に、「どうしてことばがうまく届かないのだろう。一体、自分の中にある、何が、ことばをとどかせなくさせてしまっているのだろう」と少し考え込んでしまいました。「何が原因でことばが届かないのか」を探ることは、「何が原因でことばがつかえてしまうのか」を探る上で、ヒントになりそうだな、と思いました。

 今回は15名もの方が例会に参加してくださいました。埼玉言友会としては、かなりの大人数だったと思います。いつの日か、また、三好先生をお招きして、『吃音者のためのからだとことばのレッスン 第2弾』をやれればと思いました。

 三好先生、本当にありがとうございました。(山田)